【保育士配置基準】新潟県で「1歳児に3対1」ができる理由

ICT化・働き方

新潟県の保育所では、1歳児3人に対して、保育士一人が配置されています。

これは全国的にはかなり手厚い人員配置となっています。

全国的に保育士不足の中、どのようにして3対1という手厚い人員配置を実現させているのでしょうか。

さらに、独自の配置基準によるデメリットはあるのでしょうか。

  • 新潟県ではなぜ、「1歳児に3対1」ができるのか?
  • それによるデメリットはあるのか?

保育士配置基準と新潟県の取り組み

保育士配置基準とは?

保育士配置基準とは、厚生労働省によって定められています。

保育士の数は、乳児おおむね三人につき一人以上、満一歳以上満三歳に満たない幼児おおむね六人につき一人以上、満三歳以上満四歳に満たない幼児おおむね二十人につき一人以上、満四歳以上の幼児おおむね三十人につき一人以上とする。

児童福祉施設の設備及び運営に関する基準

つまり、

〇歳児3人に1人
1、2歳児6人に1人
3歳児20人に1人
4,5歳児30人に1人

ということになります。これは「最低基準」です。

「だいたいこの人数以上の保育士を配置してね」ということです。

しかし、現状はこの最低基準で運営している保育園がほとんどだと言ってもいい状況です。

私も保育士として10年近く保育をしてきましたが、この人数では不可能だと感じています。

特に1歳、3歳、4歳はどう考えても無理だと個人的には感じています。

保育士配置基準の問題点

保育士配置基準に対する問題点は昔から度々指摘されています。

なぜなら、この配置基準は昭和23年(1948年)に作らており、その当時と現代では保育が大幅に変わっているからです。

保育に求められる「質」や「量」が全く違ったためです。

私も70年前の保育をみたことはありませんが、私が働きだしてからの約10年だけでも、

  • 保育時間
  • 子どもの様子
  • 保護者の状況
  • 家族形態
  • 保育に必要な書類
  • リスク管理

などなど、急激な変化を感じています。

配置基準がつくられた約70年前と比べると別世界だと思います。

ですので、この配置基準は全く時代に全く合わなくなっているのです。

そのため、保育所を管轄する厚生労働省としても、条件付きで無資格者でも良いとしたりと苦肉の策を出してはいますが、根本的な解決にはなっていません。

新潟県独自の配置基準

新潟県では1才児の保育士配置基準を、厚生労働省が定める「6人に1人」から独自に「3人に1人」と定めています。

全国レベルより2倍の保育士ということになります。

これは、6人を1人で保育している保育士からするとかなり衝撃的です。

このことから、新潟県では3歳未満の保育をとても重要視しているということが伝わってきます。

なぜ新潟県では「1歳児3人につき、保育士1人」ができるのか

なぜ新潟県で保育士を多く配置できるのかというと、

それは、ずばり

独自の補助金

です。

新潟県が独自に、保育士を増員するための補助金「未満児保育事業」を20年以上にわたって継続して実施しているのです。

県は、低年齢児担当の保育士を増員するための補助金「未満児保育事業」を20年以上実施しており、2018年度実績では総額6億8千万円超に上った。1歳児については国の基準「子ども6人に保育士1人」(6対1)より手厚い「子ども3人に保育士1人」(3対1)の配置が可能になり、対象の私立園の大半が補助を受けている。

新潟日報 2020年5月23日(土)

6億8000万円もの予算という数字にも驚きですね。

保育園側の努力

保育園としても、様々な努力をしています。

新潟県私立保育園・認定こども園連盟(日本保育協会新潟県支部)が2019年に「1歳児の保育士配置の検討: 3対1と6対1の比較」という研究報告をしています。

この研究により人員配置の必要性を発信しているのです。

この研究報告はとても興味深いです。

保育士の人数による昼食時の「保育士の子どもにかけた言葉の数」を比較しています。

結果を抜粋しますと、

保育者は、平均約6秒に1度、子どもに言葉がけをしている。

子どもが6人の時は、3人の時に比べ、「声をかけられる子」と「声をかけられない子」の違いが著しい

子どもが6人の場合、子どもが保育者に向けて発している各種のシグナルに、保育者が気づけないケースが多々見られた

子どもが6人になると、保育者の言葉から「共感」「単語の言いかえや繰り返し」が減り、「指示」の言葉が残る傾向が見られた。

「すべての子どもを視野の中に置き、子どもの働きかけにその都度、応える」という観点から考えると、4対1でも厳しく、やはり3対1が必要であることは明らか

研究報告書 1歳児の保育士配置の検討: 3対1と6対1の比較

保育の質を高めるためには保育士の人員を増やす必要があるという研究結果となっています。

これは、現場で働く保育士なら全員が感じていることではないでしょうか。

更に、県に対して補助を継続するよう何度も働きかけたりと、保育園側としても積極的に行動しています。

手厚い配置基準の影

保育士の手厚い配置基準は、一見するとメリットばかりのようにも感じられますが、そうでもありません。

保育士確保

保育士の配置を多くするということは、保育士を確保する難しさに直結しています。

新潟県でも保育士不足は例外ではなく、保育士採用に各園苦慮しています。

高校生に対して積極的に働きかけるなど、保育士確保にも尽力している園もあります。

正職率の低下

新潟県は、他県と比べて保育士の正職率が低いです。

様々な勤務形態がある臨時職員で運営する必要があるためだと思われます。

まとめ:配置基準3対1を全国へ

保育士の配置基準にたいする問題点は長く叫ばれ続けています。

新潟のように自治体により独自に補助金を出して、手厚い配置としているところもありますが、歳出削減に追われる自治体が補助金をカットする可能性はとても高いです。

自治体の対応に任せるのではなく、国として保育士の配置基準を見直し、新潟の「3対1」が全国に広がっていくこと願います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました